建物の外観を美しく保つサイディングですが、年月とともに「浮き」や「反り」といった変化が生じることがあります。
これらの現象は、単に見た目を損なうだけでなく、建物の耐久性に関わる重要なサインである可能性があります。
早期に原因を理解し、適切な対処を行うことが、大切な建物を長持ちさせるための鍵となります。
サイディングの浮きはなぜ発生する?
サイディング材、特に窯業系サイディングはセメントを主成分としているため、本来、水分を吸収しやすい性質を持っています。
この性質と、外壁材としての役割が組み合わさることで、浮きや反りといった現象が発生しやすくなります。
塗膜やコーキングの経年劣化
外壁を雨風や紫外線から守る役割を担っているのが、サイディング表面の塗膜です。
しかし、この塗膜は経年とともに劣化し、防水性能が徐々に低下していきます。
また、サイディングボード同士の隙間を埋めているコーキング材も、紫外線や雨風の影響を受けてひび割れや痩せが生じ、そこから水分が浸入しやすくなります。
浸入した水分が、乾燥する際の収縮と、雨水などによる膨張を繰り返すことで、サイディング材に歪みが生じ、反りや浮きにつながります。
特に寒冷地では、浸入した水分が凍結・膨張する「凍害」が、サイディング材にひび割れや割れを引き起こす原因となることもあります。
窯業系サイディングの工法問題
サイディングの施工方法には、主に「直貼り工法」と「通気工法」があります。
現在では、外壁材と躯体の間に通気層を設ける「通気工法」が主流となっています。
この通気層は、湿気や水分が建物の外側から逃げるための道となり、サイディング材の裏側への水分の滞留や吸収を防ぐ効果があります。
しかし、2000年頃まで一般的であった「直貼り工法」では、この通気層が設けられていないため、湿気がこもりやすく、サイディング材の裏側から水分を吸収してしまい、反りや浮きが発生するリスクが高まります。
また、サイディングボードを固定する釘やビスの打ち込み位置が不適切であるといった施工不良も、変形や浮きの原因となることがあります。
サイディングの浮きをどう補修する?
サイディングの浮きや反りは、その程度によって適切な補修方法が異なります。
放置すると建材の劣化を早め、より大規模な修繕が必要になる場合もあるため、早期の対応が重要です。
軽度な浮きはビス打ちで対応
浮きや反りが比較的軽微で、サイディング材自体に大きなひび割れや破損がない場合は、ビス(または釘)を増し打ちして固定する方法で対応できることがあります。
これは、浮き上がっている部分を物理的に押さえつけ、さらなる変形や浮き上がりを防ぐための処置です。
ビスを打った箇所は、雨水が浸入しないようにシーリング材で保護し、周囲の外壁の色に合わせてタッチアップ塗装を行うことで、目立たなくします。
この工法は、比較的短時間で完了し、費用も抑えられる傾向にあります。
重度な浮きは部分張替えで対応
浮きや反りが大きく、ビスで固定しようとするとサイディング材が割れてしまう可能性が高い場合や、既にひび割れや割れが発生しているような重度のケースでは、傷んだサイディングボードを部分的に新しいものに張り替える必要があります。
この場合、周辺のコーキング材を撤去し、古いサイディングボードを取り外した上で、新しいボードを設置します。
ただし、築年数が経過していると、以前と同じデザインのサイディングが入手できないことも多く、その際は周囲のデザインと調和するような代替材を選ぶことになります。
この補修は、軽度なケースに比べて費用がかかる傾向があり、高所作業が必要な場合は別途足場代なども考慮する必要があります。
まとめ
サイディングの浮きや反りは、外壁材の経年劣化による塗膜やコーキングの損傷、あるいは施工工法に起因して発生することがほとんどです。
水分がサイディング材に浸入し、乾燥と収縮を繰り返すことによって生じ、放置すると雨漏りや建材の腐食といった二次被害につながる恐れがあります。
軽度な浮きであればビス打ちによる固定で対応できる場合もありますが、重度な状態になると部分的な張替えが必要となります。
サイディングの浮きを未然に防ぐためには、外壁の定期的な点検を行い、防水性を維持するための塗装やコーキングのメンテナンスを適切に行うことが非常に重要です。
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